ワッフル

今日のデザートはワッフルだ。ザクザクとしたザラメの入ったものと、チョココーティングされたものの二種類がある。
まずはザラメの入ったものを一口食べた。硬い小さいザラメをザクザクと噛み砕く食感が癖になる。
次にチョココーティングされたものに狙いを定め、体温でチョコを溶かさないように慎重につまみ上げた。薄い膜は軽い口当たりだが、チョコの風味をしっかりと残していく。
「どっちもおいし〜〜〜」
「それはどうも」
五条のことをよくよく理解している七海は、ワッフルは一枚分のスペースを四分割にして焼く。ころころとしたワッフルは見た目にも可愛くて、五条は何個でも食べられそうだと思ってしまう。しかも必ずニ種類以上を用意してくれる。至れり尽くせりだ。
でんとテーブルの真ん中に鎮座する大皿には、山のようにワッフルが盛られていたが既に見る影もない。夢中で食べていた五条は、大皿の上が丘より低くなってようやく、食べすぎていると自覚した。ワッフルに伸びる手も止まる。
「……これ止まんなくなるね」
言い訳をするように、五条は小さな声でこぼす。七海と五条の食べた量をはかりに乗せたなら、瞬時に五条のほうに傾くだろう。そのくらいには、二人が食べた量には差がある。
「五条さん、食べないんですか?」
七海が食べたのは一つか二つか。なのに五条の手が止まれば、七海は当たり前のように五条に食べるように勧めるのだ。
勧められたことを免罪符に、五条はワッフルを減らすことに専念する。そんな五条を見て七海は満足そうに微笑みをこぼすから、何だか子供扱いされた気がしてついつい五条は口を尖らせる。
けれど七海お手製のお菓子はどれも美味しくて、一口頬張ればすぐに五条の機嫌は直ってしまうのだ。